西洋絵画−盛期ルネサンス

初期ルネサンスを振り返る

舞台

ローマ

1492年、芸術文化を支えたロレンツォ・デ・メディチの没後、「フィレンツェ」は、ドメニコ会修道僧サヴォナローラの支配下に置かれ、やや停滞期を迎えます。その一方で、ユリウス二世に代表される辣腕の教皇の下で、「ローマ」は活気を取り戻しました。かくして、ルネサンスの舞台は「フィレンツェからローマへ」移ります。

背景

巨匠の時代

15世紀末から16世紀初頭にかけてのおよそ30年間、一般には盛期ルネサンスと呼ばれます。この時代は、「巨匠の時代」でした。

古代や自然の超克

彼らは自らの才能を自覚し、「古代」や「自然」さえも凌駕する、自分の世界を創造しようと試みます。

職人から芸術家へ

彼らの試みは、「芸術家の社会的地位」を大幅に「向上」させることに繋がりました。これまでのいわば「職人」的な身分から、教皇や皇帝などの最高権力者にも敬意を持って遇せられる、真の「芸術家」となったのです。

ルネサンスの完成

この時代の使命は、初期ルネサンスが始めた仕事を結論付けることでした。

それは、「レオナルド」・「ミケランジェロ」という二人の天才、そしてその二人を吸収した「ラファエロ」によって完成を見ました。

特徴と画家

より精密な人物表現

初期ルネサンスにおいて、「写実的」かつ「秩序正しい人体表現」が試みられて来ましたが、まだまだ生気に乏しく、洗練さを欠いていました。

それもレオナルドによって遂に、「現実に生きているかのような」かつ「理想美をも備えた人物表現」が誕生します。

レオナルド・ダ・ヴィンチ|1452−1519|イタリア

最後の晩餐・模写

仕草」によって「人間の心情」を表すという芸当は、まさにレオナルドの優れた人間観察力によって完成を見ました。

自然科学への関心

またレオナルドは、「ぼかしによる統一法」・「空気遠近法による神秘的な空間構成」という、自然科学に基づいた二つの技法を持って、西洋絵画の様相を一変させました。

徹底的な人体研究

レオナルドは「自然科学」の方面へと関心を深めたのに対し、ミケランジェロは徹底的に「人体」に集中します。

ミケランジェロ・ブオナローティ|1475−1564|イタリア

アダムの創造・模写

その結晶として、従来に類を見ない「多様なポーズ」・「意表をついた角度」という、独自の表現を生み出すにいたりました。

先人からの恩恵

盛期ルネサンスを完成させたのは、「レオナルド」や「ミケランジェロ」の技法を「巧みに取り入れた」ラファエロです。ラファエロは、先人の様々な「優れた点をいち早く吸収」し、それを「統合」して「さらに高い段階へ」と昇華させる能力に秀でていました。

ラファエロ・サンツィオ|1483−1520|イタリア

アテナイの学堂・模写

人物と空間の関係はレオナルド」、「力強く理想的な人体表現はミケランジェロ」という風に、「両者に無理を感じさせず完全に同化させた」ラファエロの様式は、それ自身芸術の頂点として、後世に渡る絶対的な規範とされました。ラファエロの統合の精神が、ルネサンスを決定付けたのです。

参考文献

美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社

西洋美術史|監修・高階秀爾|美術出版社

西洋絵画史入門史|著・諸川春樹|美術出版社

次の様式

西洋建築史年表

日本建築史年表

2026年1月2日

西洋絵画−ヴェネツィア派

舞台 ヴェネツィア ローマで盛期ルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、東方とヨーロッパを結ぶ貿易で富を蓄積したヴェネツィアでは、別のルネサンスが誕生していました。一般に、ヴェネツィア派と呼ばれるものです。 背景 裕福な市民が誕生 ヴェネツィアでは、教会や市当局だけでなく、富裕で教養ある個人からの注文も盛んになりました。 個人受けする作品が流行 彼らは、伝統的な物語の著述よりも「感覚的な魅力」を要求します。 そのため、主題の重要性以上に、「鑑賞者が満足する」ような作品が好まれました。 特徴と画家 鮮やか ...

ReadMore

2026年1月2日

絵画−野獣派〈フォーヴィスム〉

著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 フランス 産業革命以来、急速な進歩によりもたらされた「世界の拡大化」は、多種多様な芸術運動の下、「専門化」・「分化」を押し進めました。そんな中で、新しい視覚体験が模索されます。そして、色彩の面で大きな変革が起きたのはフランスでした。 背景 野獣派結成のきっかけ ...

ReadMore

2026年1月2日

西洋絵画−フランス・ロココ

舞台 フランス 絵画史の中でも、特にロココは時代区分の難しい様式です。そもそもロココとバロックの区分を認めない説もあります。そのため当ブログでは、ロココの特徴が最も顕著に現れている、フランスで展開されたロココのみを取り扱います。 背景 絶対王政に陰りが見え始める 「太陽王ルイ14世」は、神から与えられた王権の行使者としての役割を演じることの出来た「最後の王」でした。 それというのも、1715年に彼が他界すると、その絶対王政にも陰りが見え始め、「貴族等の側近勢力が台頭」して来たからです。 太陽王からの開放 ...

ReadMore

2026年1月2日

西洋絵画−フランス・新古典主義絵画

舞台 フランス 革命期からナポレオン時代にかけてのフランス。ナポレオンは絵画を、自らの理念の「プロパガンダ」として活用しました。そのため、絵画は記録的な意味合いを強めます。 背景 軽快なロココに対する反動 18世紀後半、「快楽主義的」で「感覚的」なロココ様式に対する反動として、美は表面的なものでなく「崇高」なものであると考える傾向が強まります。 崇高さを追求 そして、「装飾趣味」や「官能的な裸婦像」に代わって、「形而上的な内容」や「簡素で壮大な形態感覚」を備える古典美術が範とされました。 特徴と画家 相次 ...

ReadMore

2026年1月2日

西洋絵画−フランス・バロック

舞台 フランス 太陽王ルイ14世が主権権を握る「絶対王政期」のフランスもまた、芸術の舞台となりました。自国の土壌で独自の様式を形成して行きます。 背景 フランスへ輸入 イタリア起源のバロックは、国境を超えてフランスにも広がりました。 伝統を守るフランス しかしフランスでのバロックは、主に前時代様式の否定として展開されて来た各地のバロックと異なり、「古典主義」的な傾向を保ちます。 それというのも、古典尊重のルイ王朝は「古代ローマを美術の範」としたからです。 王立アカデミーの設立 また、王立アカデミーの存在に ...

ReadMore

-西洋絵画史