作品no67

ポストカードを買う

今回の作品は、「正義に数字はないということ」です。これまた、風刺画です。

よく、「みんながこう言っているからあなたもこうしなさい。」とか、「みんながこうしているから自分もそうしよう」みたいに、人数の大小を根拠に、物事を決めること、ありますよね。自分だけ違う意見を持っていると、何だか罪悪感を感じたり、それを隠そうとしたり。でも、そもそも人数の大小には、それだけの説得力があるのでしょうか?100人が言っているから正しいに決まっている、と自分の中で思い込んでいても、もっと広く周りを見てみると、200人が真逆のことをいっているかも知れない。今の時代の人がみんな正しいといっていても、未来の人から見たら、「それおかしい」なんてこともあるはずです。現に、今の時代では考えられない昭和の事件なんて動画も、よくYouTubeで上がっていますよね。「昔は地上波でピーが見れた」とかいって。昭和では何でもなかったものが、平成では否定され、令和ではまた風向きが変わるかも知れない。このように、千人集まろうが一万人集まろうが、広い目で見れば、それは無に等しいのです。結局のところ、みんなで間違える、なんてこともあるわけですから。

もっというと、仮に100人がこれが正しい、と言っていても、実際に自分の考えを持っている人は一人しかいないかも知れない。じゃあ残りの99人は?というと、周りがそういってるから自分もそう思う、という風に、思考停止してしまっている状態。これだと、表面的には100人の意見だとしても、実質は一人の意見ですよね。後の人は、一人の意見に従っているだけ。そうであれば、なおさら人数は関係ないということになります。この絵はまさに、そのような状況を風刺しています。

右側の人たちは、思考停止してしまっている状態、自分で考えない状態、だから頭がありません。行く先は崖にも関わらず、集団の波に飲まれて、真っ直ぐ進んで行きます。

この人は、まだ半分自分の意思が残っている状態、まだ助かりようがある、だからこの人は、必死に食い止めています。

この人は確固たる信念を持っています。だから、たとえ一人だけだったとしても、迷いはありません。崖に落ちていく人々を冷静に見ています。

なんか、こんな風刺画を描いている私って、性格が悪いですね。ちょっとでも性格をよく見せたいので、絵は可愛らしくしました。点々の模様で、ほんわかします。でも、崖の下はドロドロ。やっぱり性格が悪いようです。

様式解説

1

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2

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3

舞台 ヴェネツィア ローマで盛期ルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、東方とヨーロッパを結ぶ貿易で富を蓄積したヴェネツィアでは、別のルネサンスが誕生していました。一般に、ヴェネツィア派と呼ばれるも ...

4

舞台 アルプス以北 イタリアでルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、アルプス以北の国々でも独自の流れが形成されていました。イタリア・ルネサンスと区別して、北方ルネサンスと呼ばれます。 背景 市民階 ...

5

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6

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7

舞台 フランス 絵画史の中でも、特にロココは時代区分の難しい様式です。そもそもロココとバロックの区分を認めない説もあります。そのため当ブログでは、ロココの特徴が最も顕著に現れている、フランスで展開され ...

8

舞台 フランス 革命期からナポレオン時代にかけてのフランス。ナポレオンは絵画を、自らの理念の「プロパガンダ」として活用しました。そのため、絵画は記録的な意味合いを強めます。 背景 軽快なロココに対する ...

9

舞台 フランス 革命期から王政復古期にかけてのフランス。新古典主義が絵画の主導権を握っていた一方で、その「静的で厳粛な様式」は、人の心を真に動かす力に欠けていました。そんな中、絵画に再び「動き」を取り ...

10

舞台 フランス 第二帝政期、パリの都市改革を始め、社会構造の大きな転換があったフランス。都会人の新しい生活様式などが誕生しました。 背景 産業革命・資本主義の時代 19世紀後半、いよいよ「産業革命」の ...

11

舞台 フランス フランス美術は西洋絵画史の主要舞台の座を確立しました。イギリス風景画の伝統もスペイン画家ゴヤの系譜もフランスに吸収され、オランダ画家ゴッホもこの地での修行を得て覚醒しました。 背景 印 ...

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舞台 フランス 印象派に続き、フランスが芸術の中心地として君臨しています。 背景 印象派の乗り越え 時代の寵児であった印象派も、1886年には最後の展覧会を迎え、いよいよ批判と反省の対象として乗り越え ...

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一般に、スーラ・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホの四天王を総称して後期印象派と呼ぶことが多いです。しかし、当ブログでは個人的な趣きもあって、新印象主義(スーラ)・セザンヌ・後期印象派(その他の画家)という ...

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印象派に並行して、象徴主義が発展 舞台 フランス 象徴主義は各国において多様な発展を遂げました。中でも大きな影響を与えたのは、フランスにおいて展開された象徴主義です。 背景 もう一つの芸術運動 19世 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記 ...

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著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記 ...

-令和四年作品, 風刺画