2025年6月23日
西洋建築-フランス・新古典主義
背景 ヨーロッパ随一の絶対主義国家 フランスは17世紀後半、ルイ14世の時代を持って王権が頂点に達し、ヨーロッパ随一の絶対主義国家に成長しました。ルイ14世は絶対王政下で全権を握り、貴族や教会、一般市民にも厳しい統制を加えます。そして中央集権的な行政組織を整備し、強大な軍事力を築きました。 しかしその一方で、ルイ14世の統治による莫大な財政負担や、貴族・教会の排除などに対する不満は蓄積していきます。 ルイ14世亡き後は、ルイ15世が即位し、専制政治を引き継ぎましたが、この時にはすでに王権の権威は低下してお ...
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2025年6月23日
日本建築-禅宗様
時代背景 禅宗の伝来 12世紀末、栄西によって日本に禅宗がにもたらされました。禅宗では、これまでの仏教とは教義や儀式も異なるため、僧の生活や建築も変化していきます。 禅宗:仏教の教えを直接実践することで、真実を見出すことを目指します。基本的な修行としては、座禅が挙げられます。 14世紀頃までには、確固たる地位を築き上げることに成功しました。その背景には、得宗政権*や室町幕府が、既存の権門体制に代わる宗教勢力として、禅宗寺院に焦点が当てられたということがあります。得宗政権や室町幕府の支援を得て、禅宗は広く普 ...
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2025年6月23日
日本建築-浄土教
時代背景 末法思想の流行 平安時代には密教が広まり、仏教の信仰はますます篤くなっていった一方で、「末法思想」というものが流行していきます。 末法思想:釈尊の教えが失われていき、正法の世界から像法の世界を経て末法になっていくという考え方で、それは釈尊入滅後1500年から始まるとされていました。 浄土への憧れ 当時の人々にとって、末法時代の到来は、ある意味「世界崩壊」を意識させるものでした。そして、現世にもう望みがないのなら、あの世での幸せを願おう、と人々は強く願うようになります。その拠り所となったのが「極楽 ...
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2025年6月23日
西洋建築-マニエリスム
時代背景 ローマの没落 1527年、ローマ劫掠が勃発。教皇クレメンス7世と対立していたスペイン皇帝カール5世は、ランツクネヒト*を雇って、ローマを占領・略奪させました。そして激しい略奪・虐殺にあったローマでは、多くの市民が命を失い、教皇クレメンス7世も逃亡を余儀なくされました。かくしてローマは政治的・経済的に弱体化し、周辺の大国から支配されるようになって行くのです。 ランツクネヒト:15世紀から16世紀にかけて、主にドイツ圏で編成された傭兵部隊の一種。戦術に長けており、近代戦術の先駆けとも称されました。 ...
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2025年6月23日
西洋建築-イギリス・新古典主義
フランスに並んで、イギリスではその頃 背景 古典主義の逸脱 バロックからロココの時期にかけて、「正統的な古典主義」の逸脱という傾向が著しく目立つようになりました。 それに対する批判が、来る新古典主義を用意したのです。 新古典主義の台頭 そして、新古典主義は18世紀の半ば頃から「バロック」・「ロココ」を駆逐し始め、18世紀後半には、時代を支配して行きます。 啓蒙思想による裏付け この背景には、「啓蒙思想」の興隆がありました。 人々の間で、物事を「分析的」・「経験的」・「実証的」に、いわば「合理的」に捉えよう ...
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前の様式
背景
新様式の準備
19世紀末、産業革命によって工業製品の生産が増え、大量生産や機械化が進む中で、人々の間に単調で機械的なデザインに対する反発が生まれていました。その代表格がアーツ・アンド・クラフツ運動です。彼らは手作りを重視することによって、自然の美しさや個性の再評価を図りました。
アーツ・アンド・クラフツはこの記事で解説
》建築-アーツ・アンド・クラフツ
アーツ・アンド・クラフツ運動は、その理念こそ前進的であったものの、しかし中世主義という性格から、近代化と言える段階にまでは至れませんでした。その代わり、やがて来る新様式アール・ヌーボーに火種を灯します。
1889年に開催されたパリ万国博覧会では、アール・ヌーボーの先駆者とされる芸術家たちが展示を行いました。ここで彼らは伝統的な美術様式からの脱却や新しい美意識の表現を試み、多くの注目を集めるのです。
理性に代わり、本能を追求
これまでの復古的な芸術運動では、あくまでも理性や知性から生まれる秩序に基づいて過去の様式を取り入れるというようなものでした。そのため過去様式からの脱却は困難でした。そんな中、アール・ヌーボーはより本能的で自然な形態を追求し、これまでになかった新しさを誕生させたのです。
特徴
曲線や曲面の使用
アール・ヌーボーは、自然に属する形態を工芸や建築等に持ち込むことによって固定化した正統派の造形感覚と造形手法から離脱し、新しい造形の進路を見出しました。そのモチーフとなったのは、植物的な曲線や曲面です。また、新しい技術や素材を積極的に取り入れることで、建物の構造や機能面でも革新的なデザインを実現しました。鉄筋コンクリートや鋼鉄、ガラスなどがその典型です。
不合理な造形
しかし、曲線や曲面で構成される建築というのは不合理であるという事実をま逃れることは出来ず、あくまでも「形のための形」から発展することは出来ませんでした。曲面の多様は、機能よりも表現が先行されるような場合にのみ有効だったのです。
造形・表現
世紀転換期、過去に拠り所を求めない新しい建築様式アール・ヌーボーは、またたく間にヨーロッパを席巻しました。ドイツでは「ユーゲント・シュテイル」、イギリスでは「リバティー様式」、スペインでは「モデルニスモ」という風に、様々に表情を変えながら各国へと拡散されて行ったのです。これらの様式は必ずしも同じ特徴を持ち合わせている訳ではありませんが、新しく産業革命に成功した都市に、工場主などの新しい資本家たちの支持を受けて発展して行ったという点では共通しています。
ユーゲント・シュテイル:機能美を重視し、美しさと機能性を両立したデザインを目指しました。また余分な装飾や飾り立てを排除し、簡潔なデザインを追求します。他にも、自然との調和を重視する傾向が見られました。
リバティー様式:植物や動物など自然のモチーフを取り入れ、自然主義的なデザインを追求しました。豊富な色使いや装飾性の強さも特徴的です。
モデルニスモ:カタルーニャのアイデンティティを強調するために、カタルーニャ地方特有の建築・芸術・文化の伝統的な要素を取り入れ、それを現代的な美意識に合わせて再解釈しました。
植物的なモチーフ・流動的な空間構成
オルタ博物館
室内にはガラスを通して上部から光が注がれ、渦巻く曲線が華麗な空間を演出しています。
ブリュッセル市庁舎
自然主義的な植物のモチーフが施されています。
彫刻的な装飾
サクラダファミリア
彼は、合理的な構造でありながらもうねり流れるような独自の形態を生み出しました。
参考文献
西洋建築入門|著.森田慶一|東京大学出版会
建築の歴史|編.西田雅嗣・矢ケ崎善太郎|学芸出版会
西洋建築様式史|著.熊倉洋介・末永航・etc|美術出版社
美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社
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西洋建築史年表
日本建築史年表
2025年6月23日
西洋絵画−印象派
舞台 フランス フランス美術は西洋絵画史の主要舞台の座を確立しました。イギリス風景画の伝統もスペイン画家ゴヤの系譜もフランスに吸収され、オランダ画家ゴッホもこの地での修行を得て覚醒しました。 背景 印象派展の開催 1874年、モネ・ルノワール・セザンヌ・ドガ・ピサロらによって、展覧会が開かれました。 彼らの作品に共通して見られる「スケッチ的な作風」から、この展覧会に集まった彼らは総称して、「印象派」と命名されることになります。 多様性に満ちた印象派グループ しかし実際のところ、彼らには明確な意味での共有さ ...
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2025年6月23日
西洋絵画−フランス・ロココ
舞台 フランス 絵画史の中でも、特にロココは時代区分の難しい様式です。そもそもロココとバロックの区分を認めない説もあります。そのため当ブログでは、ロココの特徴が最も顕著に現れている、フランスで展開されたロココのみを取り扱います。 背景 絶対王政に陰りが見え始める 「太陽王ルイ14世」は、神から与えられた王権の行使者としての役割を演じることの出来た「最後の王」でした。 それというのも、1715年に彼が他界すると、その絶対王政にも陰りが見え始め、「貴族等の側近勢力が台頭」して来たからです。 太陽王からの開放 ...
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2025年6月23日
絵画−野獣派〈フォーヴィスム〉
著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 フランス 産業革命以来、急速な進歩によりもたらされた「世界の拡大化」は、多種多様な芸術運動の下、「専門化」・「分化」を押し進めました。そんな中で、新しい視覚体験が模索されます。そして、色彩の面で大きな変革が起きたのはフランスでした。 背景 野獣派結成のきっかけ ...
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2025年6月23日
2025年6月23日
西洋絵画−フランス・新古典主義絵画
舞台 フランス 革命期からナポレオン時代にかけてのフランス。ナポレオンは絵画を、自らの理念の「プロパガンダ」として活用しました。そのため、絵画は記録的な意味合いを強めます。 背景 軽快なロココに対する反動 18世紀後半、「快楽主義的」で「感覚的」なロココ様式に対する反動として、美は表面的なものでなく「崇高」なものであると考える傾向が強まります。 崇高さを追求 そして、「装飾趣味」や「官能的な裸婦像」に代わって、「形而上的な内容」や「簡素で壮大な形態感覚」を備える古典美術が範とされました。 特徴と画家 相次 ...
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