西洋建築-ゴシック

2025年5月2日

西洋建築-古代ギリシャ

時代背景 ドリス人の侵略 紀元前1100年頃、北方から南下してきたドリス人によって、先住のイオニア人やアルカディア人などが駆逐されました。 ポリスの形成 その後、紀元前800年頃には、村落を中心とした小さな都市国家ポリス*が形成され始めます。 ポリス:一定の地域に住む人々が、政治的・社会的な共同体を形成し、共同で自らの生活を統制する政治組織のことです。 しかし、あくまでもこの都市国家は、単に人々が集まり住んだものに過ぎず、都市として整備されたものではありませんでした。 古代民主政の誕生 ポリスは当初、農業 ...

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2025年5月2日

日本建築-密教

時代背景 仏教と政治 この時代、仏教は政治と深い関係にありました*。また、寺院は政治的・官僚的な組織を形成していました*。そのため、寺院が勢力を強めて行くに従い、政治を左右する存在になって行きます。時には天皇位の簒奪さえも企てられました。かくして、政治に対する仏教の影響は看破できないものとなっていくのです。 仏教と政治:仏教伝来の当初、僧侶は天皇家に仕え、国家を守護する役割を担っていました。そのため、天皇家や貴族から保護を受けるようになります。彼ら政治権力者たちの思惑は、仏教を利用して自らの権威や権力を確 ...

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2025年5月2日

西洋建築-マニエリスム

時代背景 ローマの没落 1527年、ローマ劫掠が勃発。教皇クレメンス7世と対立していたスペイン皇帝カール5世は、ランツクネヒト*を雇って、ローマを占領・略奪させました。そして激しい略奪・虐殺にあったローマでは、多くの市民が命を失い、教皇クレメンス7世も逃亡を余儀なくされました。かくしてローマは政治的・経済的に弱体化し、周辺の大国から支配されるようになって行くのです。 ランツクネヒト:15世紀から16世紀にかけて、主にドイツ圏で編成された傭兵部隊の一種。戦術に長けており、近代戦術の先駆けとも称されました。 ...

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2025年5月2日

日本建築-大仏様

時代背景 力をつける寺社 この時代の寺社は、各地に荘園*を持つようになり、財政的にも潤っていました。それに伴い、政治的な力も強めていきます。 荘園:領主が自らの所有する土地を農民や奴隷などに貸し出して、彼らからの税を収める経営形態。土地を借りる農民や奴隷は、作物や畜産物などの収穫物や一定の労役を支払うことによって生計を立てていました。 僧兵による武装化 寺社が権力を握る中、自分たちの力で社会を切り開き、大和国の実権を握ったのは平清盛でした。もちろん、もともと大和国での特権を保持していた南都寺院からすれば、 ...

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2025年5月2日

西洋建築-イタリア・ルネサンス

前の様式 舞台 イタリア・ルネサンスの舞台は、市民階級がいち早く台頭したイタリアの商業都市「フィレンツェ」です。 時代背景 イタリアは、中世において商業や金融の中心地として栄え、豊かな都市国家へと発展しました。このような繁栄の中で、芸術家や学者が集まり、文化的な交流が盛んに行われるようになります。また、イタリアでは古代ローマや古代ギリシャの文化が受け継がれていましたが、ルネサンス期において、これはキリスト教中心の中世思想に対する反発という形をとって現れました。 キリスト教世界のほころび 中世ヨーロッパ社会 ...

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前の様式

背景

中央集権の基盤が整い始める

当時のヨーロッパは、多くの小国家や地方政府が存在し、権力の分散化が進んでいました。そんな中、国王たちは中央集権化政策を進め、自らの権力を強化し、統治の効率化を図ります。王権の強化、法律の統一、行政機構の整備、課税制度の整備などが行われました。かくして、地方領主の手中にあった統治が国王の下に回収されます。

中央集権化政策:政治的な権限や権力が中央政府に集中すること。

特に勢いがあったのは、ルイ7世です。各地の貴族や教会が持っていた法的な特権を制限することで、自身の王権強化に取り組みました。

キリスト教が民衆の支持をリード

諸国王と教皇との対立の一方で、キリスト教会はむしろ勢いづいていました。世俗の心を掴むという点においてリードしたのは、キリスト教会だったのです。

都市の発達

また、この時代は都市が発展した時代で、力をつけた富裕層も誕生しました。国王、教会、富裕層などの支援を受けて、数々の大規模な建築事業が為され、これがゴシック建築の土壌となったのです。

都市が発展した理由:大きな要因として、市場が形成されたことが挙げられます。中世初期の頃は、商人たちが旅をして商品を売買する交易を行っていましたが、徐々に交易が都市に集積するようになり、交易が都市に集積することで市場が形成されたのです。市場を中心に経済が循環し、都市は大きな発展を遂げました。

特徴

伝統的な様式が根付いていない地域で新様式が発展

12世紀中頃、パリを中心とする限られた地方において、集中的に建設活動が活発化しました。「限られた」というのは、当時ロマネスクの伝統が色濃く残っていた地方では、ゴシックという新様式がすんなりと受け入れられることはなかったからです。ゴシック建築は、伝統的な様式がまだ確立されていない地域において展開されました。

権威を誇示する巨大建造物

主に建てられたのは、それぞれの都市の繁栄を象徴する大聖堂です。自らの地位を誇示するかの如く、圧倒的な高さや大きさを持つ建造物が建てられました。

造形・表現

各地の文化が統合

ゴシック建築の主な特徴として、圧倒的な高さや壁面一杯に開けられたステンドグラスが挙げられます。これらは既に、各地のロマネスク建築やイスラム建築などでそれぞれ個別に用いられてきたものですが、ゴシック期においてこれらの成果が総合されました。

ヴォールトにリブが加わる

リブとは、交差線に沿って付けられたアーチの筋です。リブの役割については、ヴォールト天井全体を支えるためのものとする説と、造形的効果を目指したものであり、構造的な意味はなかったとする説があり、その真意ははっきりとしません。

スタンドグラスを用いて演出される、光の世界

キリスト教の聖書には「神は光なり」という言葉があります。この言葉に基づいて、光の空間を建築空間において具現化するという試みが、これまで教会建築ではなされて来ました。その一つの到達点となったのがスタンドグラスの発明です。

フライング・バットレスによって、大きな高窓を実現

バシリカからロマネスクへの進展は、光の演出という観点から見れば一つの劣化でした。それというのも、高さを実現するためには、窓からの採光をある程度犠牲にする必要があったからです。

しかし、ゴシック期において「フライング・バットレス(添え壁)」を用いた構造強化に成功したことにより、窓面積の大幅な拡大を実現しました。

圧倒的な高さにして、なおかつ軽さを表現

ゴシック建築は、神の国を表現するために建築構造を非物質化することに努めました。まるで細い付柱とリブが重圧な石の天井を支えているかのようにも見えるこの演出は、まさに反自然的であり、人々に神の国を連想させます。

参考文献

西洋建築入門|著.森田慶一|東京大学出版会

建築の歴史|編.西田雅嗣・矢ケ崎善太郎|学芸出版会

西洋建築様式史|著.熊倉洋介・末永航・etc|美術出版社

美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社

次の様式

西洋建築史年表

日本建築史年表

2025年5月2日

西洋絵画−フランス・ロココ

舞台 フランス 絵画史の中でも、特にロココは時代区分の難しい様式です。そもそもロココとバロックの区分を認めない説もあります。そのため当ブログでは、ロココの特徴が最も顕著に現れている、フランスで展開されたロココのみを取り扱います。 背景 絶対王政に陰りが見え始める 「太陽王ルイ14世」は、神から与えられた王権の行使者としての役割を演じることの出来た「最後の王」でした。 それというのも、1715年に彼が他界すると、その絶対王政にも陰りが見え始め、「貴族等の側近勢力が台頭」して来たからです。 太陽王からの開放 ...

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2025年5月2日

西洋絵画−フランス象徴主義

印象派に並行して、象徴主義が発展 舞台 フランス 象徴主義は各国において多様な発展を遂げました。中でも大きな影響を与えたのは、フランスにおいて展開された象徴主義です。 背景 もう一つの芸術運動 19世紀後半、印象派が盛り上がりを見せていたその頃、並行して別の流れが形成されていました。 商業化する芸術 先導したのは、「科学」と「機械万能」という時代における「実利的なブルジョア精神」や、「芸術の卑俗化」に嫌気がさした画家たちです。 人間の内面を描く 彼らは、人間存在とその運命に関する「深い苦悩」・「精神性への ...

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2025年5月2日

西洋絵画−フランス・新古典主義絵画

舞台 フランス 革命期からナポレオン時代にかけてのフランス。ナポレオンは絵画を、自らの理念の「プロパガンダ」として活用しました。そのため、絵画は記録的な意味合いを強めます。 背景 軽快なロココに対する反動 18世紀後半、「快楽主義的」で「感覚的」なロココ様式に対する反動として、美は表面的なものでなく「崇高」なものであると考える傾向が強まります。 崇高さを追求 そして、「装飾趣味」や「官能的な裸婦像」に代わって、「形而上的な内容」や「簡素で壮大な形態感覚」を備える古典美術が範とされました。 特徴と画家 相次 ...

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2025年5月2日

西洋絵画−クールベ=マネ

舞台 フランス 第二帝政期、パリの都市改革を始め、社会構造の大きな転換があったフランス。都会人の新しい生活様式などが誕生しました。 背景 産業革命・資本主義の時代 19世紀後半、いよいよ「産業革命」の成果が浸透し始め、かつ「資本主義」の波風が立ち始めました。 近代への突入 「科学技術の飛躍的な進歩」・「都市部への人口集中」・「階級対立の激化」・「西欧の世界進出に伴う異文化交流」などが、人々の日常生活に大きな影響を与えます。 近代絵画の始まり 絵画においては、クールベやマネといった近代絵画の創始者によって、 ...

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2025年5月2日

西洋絵画−イタリア・バロック

舞台 イタリア 16世紀後半のイタリア、おおよそ芸術活動の低迷期に入っていました。しかし、カラヴァッジョの活躍によって、ローマで新たな盛り上がりを見せます。その後、カラヴァッジョ様式は国際的な広がりを見せました。(本記事では、イタリアに比較的近しい展開を見せたフランドル・スペインも一緒に取り上げます) 背景 宗教改革に対抗するカトリック教会 カトリック協会の免罪符を直接のきっかけに、「宗教改革」が勃発。離れていった信者の心を取り戻すため、カトリック教会は「反宗教改革」に乗り出しました。 分かり易さを武器に ...

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-西洋建築史