西洋建築-ドイツ工作連盟

2025年8月19日

西洋建築-インターナショナル・スタイル

背景 近代芸術の到達点 アーツ・アンド・クラフツ運動*から始まった近代芸術運動は、当初は手工業に重点を置きながらも、デ・ステイル*やドイツ工作連盟*などを経て、機能主義にたどりつきました。 アーツ・アンド・クラフツ運動:機械生産による大量生産と標準化が進む一方で、一つ一つの製品としての質は悪化してしまいます。これに対し、手仕事や伝統工芸品を再評価することによって、製品の質を向上させることを目的としました。 デ・ステイル:芸術によって人々の生活環境を改善しようとした点はアーツ・アンド・クラフツ運動と同様です ...

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2025年8月19日

西洋建築-ロマネスク

背景 カロリング帝国の建国 768年には国王として、800年には皇帝として君臨したカール大帝は、カロリング帝国*の永華を築きました。その支配域は、現在でいうフランス・ドイツ・イタリアに及びます。そしてカール大帝の下で、文化・経済・宗教が発展し、また教育・行政などの制度も整備されました。 カロリング帝国:8世紀から9世紀にかけて、フランク王国を統一し、大きな領土を支配したフランク王朝の王族であるカロリング家によって建国された帝国。 カロリング帝国の分裂と西洋社会の混乱 しかしカール大帝の死後、カロリング帝国 ...

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2025年8月19日

日本建築-天守閣

時代背景 大名と張り合う寺院勢力 この時代の有力寺社(東大寺・興福寺・延暦寺など)は、荘園による寺社領の保持・僧兵による武装化によって、絶大な影響力・軍事力を誇っていました。寺社は戦国大名に比肩する一大勢力だったのです。 外来文化による破壊 そんな中、キリスト教の布教や交易のため、ヨーロッパ諸国から日本への来訪が増加します。これによって、多くの文化が持ち込まれました。フランシスコ・ザビエルなどがその例で、新文化の影響を受けた日本人にとっては、既存の世界観や価値観が打ち壊されることになりました。 芽生える火 ...

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2025年8月19日

日本建築-禅宗様

時代背景 禅宗の伝来 12世紀末、栄西によって日本に禅宗がにもたらされました。禅宗では、これまでの仏教とは教義や儀式も異なるため、僧の生活や建築も変化していきます。 禅宗:仏教の教えを直接実践することで、真実を見出すことを目指します。基本的な修行としては、座禅が挙げられます。 14世紀頃までには、確固たる地位を築き上げることに成功しました。その背景には、得宗政権*や室町幕府が、既存の権門体制に代わる宗教勢力として、禅宗寺院に焦点が当てられたということがあります。得宗政権や室町幕府の支援を得て、禅宗は広く普 ...

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2025年8月19日

日本建築-室町

時代背景 南北朝時代 鎌倉幕府による長期政権は、200年以上に渡りました。しかし14世紀に入ると、幕府内部に対立が生じるようになります。そして1333年、後醍醐天皇が幕府に反旗を翻して、建武政権を開きました。 建武政権:後醍醐天皇の直轄支配下にある新たな政治体制。天皇としての権威を回復し、幕府を打倒することを目的としました。 建武政権の初代天皇となったのは、後醍醐天皇の皇子である光明天皇です。しかし鎌倉幕府の滅亡を実現できぬまま、建武政権は1348年に崩壊します。そして、建武政権崩壊後に成立した北朝には、 ...

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前の様式

背景

アーツ・アンド・クラフツの影響

1907年、イギリスで始まった「アーツ・アンド・クラフツ運動*」の影響が、ドイツでは、「ドイツ工作連盟」の結成として表れます。彼らは、産業生産において芸術的な要素を取り入れることが重要であると信じ、芸術と工業の融合を目指しました。

アーツ・アンド・クラフツ運動:工芸品の制作において、芸術と工業を融合させることを目指した運動

アーツ・アンド・クラフツ運動では、手工業や小規模な工場に焦点を当てていた*ため、大量生産には対応できないという欠点を抱えていました。これに対し、ドイツ工作連盟は大量生産技術にも注目します。製品の機能性や実用性を考慮しながら、芸術的なデザインによって製品の価値を高めることを目指したのです。

アーツ・アンド・クラフツ運動の理想は、職人たちが手作りで製品を作り上げることで、製品に個性・一回性が反映されることでした。一方大量生産の場合では、デザインが統一されることになります。

この背景には「第二次産業革命」がありました。「量産の時代」とも呼ばれるこの時期に突入して以降、工業製品の生産が大量化され、生産性が飛躍的に向上したのです。その要因としては、蒸気機関や内燃機関、電力などの発明が進んだこと、鋼鉄・アルミニウム・プラスチックなどの新しい素材が発明されたこと、移民の増加や都市部からの人口流入により、工業労働者の確保が容易になったことなどが挙げられます。多くの人々にとって工業製品身近な存在となった今、大量生産は無視できない状況だったのです。

特徴

機械との共存

これまでの芸術運動においては、基本的に機械は敵対視されていました。たとえばアール・ヌーボーでは、手工芸にこだわるあまり、機械を全否定します、しかし、それはかえって時代から取り残されることになりました。

そこで機械との共存を図ろうという試みが現れ始めます。それが「ドイツ工作連盟」です。彼らは、何のためらいもなく機械を肯定し、むしろ「機械様式」を自らの様式とすることで、現代工業デザインの先駆けとなることに成功しました。「建築部材の規格化」や「大量生産」を、芸術面での強みに変えたのです。

造形・表現

彼らは工芸の革新から出発し、作品に「合理性」と「単純性」を求めました。「形のための形」に意義を認めず、「即物性」を造形の指導標としたのです。そしてその技術革新は、工場建築から始まりました。工場建築はその性格からして「経済性」と「生産性」を第一に考える建物であったため、「機能的なデザインの追求」・「合理的な材料の選択」・「文化的伝統の排除」が容易に行えたからです。

鉄・ガラスによる構成・装飾の排除

AEGタービン工場|P・ベーレンス

出典:berlinhbfより引用

P・ベーレンスは、鉄骨トラスの大架構を用いることで、巨大なガラス面の外壁を実現しました。また「付加的な装飾」は一切取り除かれました。

工業生産と造形の一体化を具現

ファグス靴工場|W・グロピウス、A・マイヤー

ベーレンスの下から独立したグロピウスは、主要な外壁を「カーテンウォール」にしました。当時の持てる技術が反映されているのが分かります。

カーテンウォール:建物の外壁にカーテンのように張られた外装材(主にガラスやアルミニウムなどの軽量材料を用いられる)によって、その建物を覆う外装構造のこと。

参考文献

西洋建築入門|著.森田慶一|東京大学出版会

建築の歴史|編.西田雅嗣・矢ケ崎善太郎|学芸出版会

西洋建築様式史|著.熊倉洋介・末永航・etc|美術出版社

美術史〈西洋〉|編・中山公男 中森義宗|近藤出版社

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西洋建築史年表

日本建築史年表

2025年8月19日

西洋絵画−立体派〈キュビズム〉

著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 フランス 産業革命以来、急速な進歩によりもたらされた「世界の拡大化」は、多種多様な芸術運動の下、「専門化」・「分化」を押し進めました。そんな中で、新しい視覚体験が模索されます。そして、「形態」と「構成」の面で大きな変革が起きたのはフランスでした。 背景 感覚派から知性派へ 野獣 ...

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2025年8月19日

西洋絵画−ヴェネツィア派

舞台 ヴェネツィア ローマで盛期ルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、東方とヨーロッパを結ぶ貿易で富を蓄積したヴェネツィアでは、別のルネサンスが誕生していました。一般に、ヴェネツィア派と呼ばれるものです。 背景 裕福な市民が誕生 ヴェネツィアでは、教会や市当局だけでなく、富裕で教養ある個人からの注文も盛んになりました。 個人受けする作品が流行 彼らは、伝統的な物語の著述よりも「感覚的な魅力」を要求します。 そのため、主題の重要性以上に、「鑑賞者が満足する」ような作品が好まれました。 特徴と画家 鮮やか ...

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2025年8月19日

西洋絵画−ロマン主義

舞台 フランス 革命期から王政復古期にかけてのフランス。新古典主義が絵画の主導権を握っていた一方で、その「静的で厳粛な様式」は、人の心を真に動かす力に欠けていました。そんな中、絵画に再び「動き」を取り戻そうという流れが形成されます。 背景 ヨーロッパ各国の独立意識 「フランス革命」・「ナポレオンの侵略」という二つの事件をきっかけに、各国は「自我」に目覚めます。 古代ローマという西欧各国における「共通の祖先」から、「自国の歴史」・「風土」へと関心が移ったのです。 プロパガンダとしての絵画 ナポレオンの第一帝 ...

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2025年8月19日

西洋絵画−盛期ルネサンス

舞台 ローマ 1492年、芸術文化を支えたロレンツォ・デ・メディチの没後、「フィレンツェ」は、ドメニコ会修道僧サヴォナローラの支配下に置かれ、やや停滞期を迎えます。その一方で、ユリウス二世に代表される辣腕の教皇の下で、「ローマ」は活気を取り戻しました。かくして、ルネサンスの舞台は「フィレンツェからローマへ」移ります。 背景 巨匠の時代 15世紀末から16世紀初頭にかけてのおよそ30年間、一般には盛期ルネサンスと呼ばれます。この時代は、「巨匠の時代」でした。 古代や自然の超克 彼らは自らの才能を自覚し、「古 ...

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2025年8月19日

西洋絵画史年表

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-西洋建築史