日本建築-大衆寺院

2025年10月3日

西洋建築-マニエリスム

時代背景 ローマの没落 1527年、ローマ劫掠が勃発。教皇クレメンス7世と対立していたスペイン皇帝カール5世は、ランツクネヒト*を雇って、ローマを占領・略奪させました。そして激しい略奪・虐殺にあったローマでは、多くの市民が命を失い、教皇クレメンス7世も逃亡を余儀なくされました。かくしてローマは政治的・経済的に弱体化し、周辺の大国から支配されるようになって行くのです。 ランツクネヒト:15世紀から16世紀にかけて、主にドイツ圏で編成された傭兵部隊の一種。戦術に長けており、近代戦術の先駆けとも称されました。 ...

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2025年10月3日

日本建築-近世寺院

時代背景 破壊の時代 戦国期は読んで字の如く「波乱の時代」でした。戦国大名たちによって繰り広げられる戦火の中で、多くの建物は失われて行きます。そのためこの時代は、新たな建築の生産というよりも、建築の破壊の時代でした。 渦中の寺院 幸か不幸か、当時の寺院も僧兵を構えるなど大名に比肩する勢力を誇っていたため、この争いの渦中に巻き込まれます。たとえば、延暦寺は信長の焼き討ちによって多くの建物が失われ、壊滅状態となりました。また東大寺は、松永久秀や三好三人衆らによる戦闘で戦火を被りました。 復興の時代 しかし16 ...

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2025年10月3日

西洋建築-ゴシック・リヴァイバル

背景 啓蒙主義の台頭 17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパでは、啓蒙主義が席感していました。啓蒙主義は、合理性や科学性を重視し、人間は理性的に考えるべきだと主張します。そのため、古典主義的な芸術や文化と相性が良く、古代ギリシャ・ローマの美学が模範となります。 しかし啓蒙主義が進展するにつれて、過度に理性を重視する考えに疑問を持つ人々が現れました。たとえば芸術においては、人間の感情や内面世界を無視して外面的な表現に囚われている節があり、また決まりきった規則や格式に基づくものが多く、個性や独創性が抑制する ...

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2025年10月3日

西洋建築-イギリス・新古典主義

フランスに並んで、イギリスではその頃 背景 古典主義の逸脱 バロックからロココの時期にかけて、「正統的な古典主義」の逸脱という傾向が著しく目立つようになりました。 それに対する批判が、来る新古典主義を用意したのです。 新古典主義の台頭 そして、新古典主義は18世紀の半ば頃から「バロック」・「ロココ」を駆逐し始め、18世紀後半には、時代を支配して行きます。 啓蒙思想による裏付け この背景には、「啓蒙思想」の興隆がありました。 人々の間で、物事を「分析的」・「経験的」・「実証的」に、いわば「合理的」に捉えよう ...

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2025年10月3日

西洋建築-アーツ・アンド・クラフツ

背景 分業体制の始まり 19世紀後半のイギリスでは、産業革命によって工業化が進み、工業製品の需要も高まっていました。それに伴い、機械による大量生産や標準化が進む一方で、工芸品や手仕事の価値は低下していきます。 モリスが立ち上がる 機械的かつ分業的な生産方式を強いられる現状に、一人の男が声を挙げました。我らがW・モリスです。彼は機械による大量生産や標準化に反対し、手仕事や伝統工芸品の価値の再評価を図ったのです。 彼は芸術を労働における人間の悦びの表現であると主張しました。そして物作りの労働が悦びと感じられる ...

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前の様式

時代背景

寺院にも自営が求められる

18世紀に入る頃には、幕府や諸藩の財政は悪化し、寺社の造営を行う力を失っていました。そのため、各寺社は自らでの資金調達を迫られます。その方法として、「開帳」「勧化」など、民衆から銭を集めるための行事に力を注ぎます。

行事の集金化

「開帳」は本来、寺社の秘仏などを開扉して、人々と神仏を結縁する宗教行為でした。しかし、財政に困っていた寺院は、「開帳」を堂舎の建立や修理費用のための集金事業として活用するようになったのです。

経済力を身につけた民衆

寺院が疲弊していた一方で、民衆の方の生活はどうだったかというと、戦に駆り出されることもなければ、戦乱によって田畑が荒らされることもない、太平の時代を迎えていました。幕藩体制による支配はあったものの、民衆の生活基盤は安定し、経済的な力をつけていきます。

大衆文化の開花

かくして、民衆の生活に余裕が生まれ始めると、民衆による文化が花開くのでした。特に、「浮世絵」「歌舞伎」「浄瑠璃」「相撲」などが盛り上がりを見せました。

巡礼ブーム

そして、財政難に陥り、資金を求める寺社と、経済力を身につけ、現世利益を求める民衆の思惑が合致し、巡礼や参詣が流行しました。

実は観光目的?

この流行の背景には、もちろん現世利益を求める信仰心もありましたが、実は観光を目的としていたとも考えられています。民衆の移動が制限されていた江戸時代では、民衆が旅行の許可を得ることは容易ではありませんでしたが、寺社の巡礼や参詣を理由にすれば、通行手形の許可がおりやすかったのです。

造形

民衆から資金を集めるには、民衆向けのアプローチが必要で、特に分かりやすい装飾表現が求められました。たとえば、「派手な装飾」「参拝空間の充実」などが挙げられます。

大瀧神社

対象が僧侶から参拝客に変わったことで、観光的な建築が多く作られました。

新勝寺三重塔

この三重塔は、見上げることを意識して作られています。垂木に変えて板軒を使い、その表面には彫刻が施されました。なおかつ、鮮やか色彩で塗り上げられました。

歓喜院聖天堂

構造部材(柱・長押など)には自問彫が施され、木口には「獅子」「麒麟」「猿」「波」などの彫刻が施されています。

妙義神社本殿

深い光沢を放つ漆で壁面が仕上げられ、その上に図様がはめ込まれています。

専修寺如来堂

外に面した建具には、「格子」「障子」などを用いて、明るい空間としました。また、立登せ柱によって、背の高い空間が作り上げられました。

大神山神社奥宮

明るさ・高さは、参拝客の受けを狙ったものなので、参拝空間に工夫が集中しています。

また集客のために、遊興的な寺社も増えていきます。

善光寺

胎内潜り

笠森寺観音堂

四方懸造

負担を減らす工夫

巡礼ブームの反面、民衆にとっては経済的にも時間的にも負担が大きいものでした。そこで、建物だけでなく、機能的な面での工夫も施されます。現地の霊場に訪れるのが困難な人のために、近場に模したミニ霊場が作られたりもしました。

旧正宗寺三匝堂

一つの建物を参詣することで、百ヶ所の札所を廻ったことと同等の価値を持つ「三匝堂」

旧正宗寺三匝堂

参拝客が登り降りするための、二重の螺旋階段が設けられました。これによって、昇る人と降りる人が交差しないようになっています。

参考文献

日本建築史講義|著.海野聡|学芸出版社

建物が語る日本の歴史|著.海野聡|吉川弘文館

建築の歴史|編.西田雅嗣・矢ケ崎善太郎|学芸出版会

日本建築様式史|監修・太田博太郎|美術出版社

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西洋建築史年表

日本建築史年表

2025年10月3日

西洋絵画−北方ルネサンス

舞台 アルプス以北 イタリアでルネサンスが盛り上がりを見せていたその頃、アルプス以北の国々でも独自の流れが形成されていました。イタリア・ルネサンスと区別して、北方ルネサンスと呼ばれます。 背景 市民階級の台頭 15世紀のフランドル地方では、「毛織物工業」と「国際貿易の振興」に伴って「市民階級」が台頭して来ました。 ありのままを描く それに呼応するように、「風景画」や「風俗画」なども受け入れられるようになります。 イタリア・ルネサンスでは「古典美」を理想の範としたのに対し、北方ルネサンスは自然や人間の姿を「 ...

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2025年10月3日

西洋絵画−立体派〈キュビズム〉

著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 フランス 産業革命以来、急速な進歩によりもたらされた「世界の拡大化」は、多種多様な芸術運動の下、「専門化」・「分化」を押し進めました。そんな中で、新しい視覚体験が模索されます。そして、「形態」と「構成」の面で大きな変革が起きたのはフランスでした。 背景 感覚派から知性派へ 野獣 ...

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2025年10月3日

西洋絵画−後期印象派

一般に、スーラ・セザンヌ・ゴーギャン・ゴッホの四天王を総称して後期印象派と呼ぶことが多いです。しかし、当ブログでは個人的な趣きもあって、新印象主義(スーラ)・セザンヌ・後期印象派(その他の画家)という風に細分化しています。 舞台 フランス 印象派に続き、フランスが芸術の中心地として君臨しています。 背景 時代背景は主に新印象主義と同じです。 印象派の乗り越え 時代の寵児であった印象派も、1886年には最後の展覧会を迎え、いよいよ批判と反省の対象として乗り越えられる存在になります。 物の形を犠牲にした印象派 ...

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2025年10月3日

西洋絵画−ロマン主義

舞台 フランス 革命期から王政復古期にかけてのフランス。新古典主義が絵画の主導権を握っていた一方で、その「静的で厳粛な様式」は、人の心を真に動かす力に欠けていました。そんな中、絵画に再び「動き」を取り戻そうという流れが形成されます。 背景 ヨーロッパ各国の独立意識 「フランス革命」・「ナポレオンの侵略」という二つの事件をきっかけに、各国は「自我」に目覚めます。 古代ローマという西欧各国における「共通の祖先」から、「自国の歴史」・「風土」へと関心が移ったのです。 プロパガンダとしての絵画 ナポレオンの第一帝 ...

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2025年10月3日

絵画−野獣派〈フォーヴィスム〉

著作権に対する配慮:当記事に掲載している模写作品の中には、著作権保護期間中のものが含まれています。そのため、「引用元(元絵)の明記」・「引用の必要性」・「画像は自前で用意すること」・「非営利目的」を徹底した上で、当記事の作成に望んでいます。 舞台 フランス 産業革命以来、急速な進歩によりもたらされた「世界の拡大化」は、多種多様な芸術運動の下、「専門化」・「分化」を押し進めました。そんな中で、新しい視覚体験が模索されます。そして、色彩の面で大きな変革が起きたのはフランスでした。 背景 野獣派結成のきっかけ ...

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-日本建築史